ピラミッドの石は、どこから来て、どうやってあそこまで運ばれたのか。4500年前の役人の日誌、ギザの港の発掘、2024年の「消えたナイルの支流」の論文を読み、公開されている衛星の地形データで自分でもたどってみました。
▼目次
00:00 ピラミッドの作り方の説と、砂漠の港
02:55 足元の石切り場
07:23 紅海の日誌
13:18 ギザの港
18:41 港から頂上へ
27:37 消えた64キロ
36:20 本当に新発見か
40:25 自分でたどる
53:54 答え合わせ
▼この動画で分かったこと
・大ピラミッドの石の大半は、300m先の石切り場から切り出されていました。白い化粧石は川向こうのトゥーラ(約17km)、王の間の花崗岩は900km近く南のアスワンから運ばれています
・2013年に紅海の港で見つかった監督官メレルの日誌には、トゥーラの白い石灰岩を船に積み、「クフの湖」を経てギザへ運んだ記録があります
・ギザには港がありました(クフの河岸神殿の床の高さ、神殿の前に掘られた港の池と石の壁、花粉の分析による水位の推定)
・2024年の論文は、ピラミッドの列に沿う長さ64kmの支流を1本の流れとして地図にしました(衛星で見えた区間と推定の区間があります)。一方、ハワスとレーナーは「新しい点はない」と指摘しています。深く掘った穴は同じ場所の2本だけで、川の土の年代はまだ測られていません
・公開の30m地形データ(Copernicus DEM)で自分でたどると、ジルザ南で論文の図と同じ場所に低い帯が見えました。ただし今の運河が帯に沿って通っています。ダハシュールでは神殿の前に埋もれた谷が地形とレーダーで見えましたが、水があった証明ではありません。論文の水位の上がり下がりの一部は、自分のデータでは再現できませんでした
・支流が消えた理由(地面の傾き・砂・干ばつ)は論文の説明で、確定ではありません。石を頂上まで上げた方法と、大ピラミッドの中の大きな空間の正体も、今も分かっていません
▼出典
・Ghoneim, E. et al. (2024) "The Egyptian pyramid chain was built along the now abandoned Ahramat Nile Branch" Communications Earth & Environment 5: 233(CC BY 4.0・図を引用) https://www.nature.com/articles/s4324...
・Hawass, Z. & Lehner, M. 上の論文への書評 https://www.hawasszahi.com/news/artic...
・Sheisha, H. et al. (2022) PNAS 119(37): e2202530119(ギザの花粉と水位)/Weiss, H. (2022) PNAS e2212483119(その解説)
・Lehner, M. (2020) "Lake Khufu"/Goyon, G. (1971)(ピラミッドの港と西の水路)
・Tallet, P. & Lehner, M. (2021)『The Red Sea Scrolls』(メレルの日誌)/Archaeology誌 2014年1・2月号、2022年7・8月号
・Lehner, M. (1985)(ギザの石切り場の体積)/AERA(古代エジプト研究協会)
・Stocks, D. A. (2003) Experiments in Egyptian Archaeology(銅ののこぎりと砂の再現実験)
・Fall, A. et al. (2014) Physical Review Letters 112: 175502(湿らせた砂の摩擦)
・ハトヌブの急な坂(2018年、IFAO とリヴァプール大学の発表)
・Dash, G. (2017) Journal of Ancient Egyptian Interconnections 13(秋分の影で方位を出す実験)
・Houdin, J.-P.(内部の坂の説)/ヘロドトス『歴史』
・Landreau, X. et al. (2024) PLOS ONE https://doi.org/10.1371/journal.pone.... News)
・Morishima, K. et al. (2017) Nature(ビッグボイド)/Procureur, S. et al. (2023) Nature Communications(北面の回廊)
▼実験のデータ
・Copernicus DEM GLO-30(© DLR e.V. 2010-2014 and © Airbus Defence and Space GmbH 2014-2018 provided under COPERNICUS by the European Union and ESA)
・Sentinel-2 / Sentinel-1(Copernicus Sentinel data 2026。Sentinel-2は2026年9月、Sentinel-1は2026年6〜9月の16回分)
・ピラミッドの位置:Wikidata・Wikipedia
▼写真
・大ピラミッド:Douwe C. van der Zee(CC BY-SA 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ギザの三大ピラミッド:Ricardo Liberato(CC BY-SA 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・屈折ピラミッド:Jorge Láscar(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・赤いピラミッド:Darer101(CC BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ジェセル王の階段ピラミッド:Vyacheslav Argenberg(CC BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・カフラー王のピラミッドの化粧石:Vincent Brown(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・王の間:Andrew Currie(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・大回廊:Mike McBey(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ギザの石切り場:JMCC1(CC BY-SA 3.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ナイル川の帆船:Vyacheslav Argenberg(CC BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ダハシュールと南サッカラのピラミッド:Ernesto Graf(CC BY-SA 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・黒いピラミッド:Tekisch(CC BY-SA 3.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ハトヌブの石切り場:Hannah Pethen(CC BY-SA 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・アスワンの切りかけのオベリスク:Olaf Tausch(CC BY 3.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・銅のノミ・銅ののこぎり:The Metropolitan Museum of Art(CC0)
・ジェフティヘテプの巨像運搬図(Wilkinson)・リンド数学パピルス・トゥーラの石切り場(Lepsius):パブリックドメイン
・ライセンス本文:CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY 3.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY 4.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY-SA 2.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/...
・サムネの一部の背景は画像生成で作ったイメージです
ピラミッドの石は、どこから来て、どうやってあそこまで運ばれたのか。4500年前の役人の日誌、ギザの港の発掘、2024年の「消えたナイルの支流」の論文を読み、公開されている衛星の地形データで自分でもたどってみました。
▼目次
00:00 ピラミッドの作り方の説と、砂漠の港
02:55 足元の石切り場
07:23 紅海の日誌
13:18 ギザの港
18:41 港から頂上へ
27:37 消えた64キロ
36:20 本当に新発見か
40:25 自分でたどる
53:54 答え合わせ
▼この動画で分かったこと
・大ピラミッドの石の大半は、300m先の石切り場から切り出されていました。白い化粧石は川向こうのトゥーラ(約17km)、王の間の花崗岩は900km近く南のアスワンから運ばれています
・2013年に紅海の港で見つかった監督官メレルの日誌には、トゥーラの白い石灰岩を船に積み、「クフの湖」を経てギザへ運んだ記録があります
・ギザには港がありました(クフの河岸神殿の床の高さ、神殿の前に掘られた港の池と石の壁、花粉の分析による水位の推定)
・2024年の論文は、ピラミッドの列に沿う長さ64kmの支流を1本の流れとして地図にしました(衛星で見えた区間と推定の区間があります)。一方、ハワスとレーナーは「新しい点はない」と指摘しています。深く掘った穴は同じ場所の2本だけで、川の土の年代はまだ測られていません
・公開の30m地形データ(Copernicus DEM)で自分でたどると、ジルザ南で論文の図と同じ場所に低い帯が見えました。ただし今の運河が帯に沿って通っています。ダハシュールでは神殿の前に埋もれた谷が地形とレーダーで見えましたが、水があった証明ではありません。論文の水位の上がり下がりの一部は、自分のデータでは再現できませんでした
・支流が消えた理由(地面の傾き・砂・干ばつ)は論文の説明で、確定ではありません。石を頂上まで上げた方法と、大ピラミッドの中の大きな空間の正体も、今も分かっていません
▼出典
・Ghoneim, E. et al. (2024) "The Egyptian pyramid chain was built along the now abandoned Ahramat Nile Branch" Communications Earth & Environment 5: 233(CC BY 4.0・図を引用) https://www.nature.com/articles/s4324...
・Hawass, Z. & Lehner, M. 上の論文への書評 https://www.hawasszahi.com/news/artic...
・Sheisha, H. et al. (2022) PNAS 119(37): e2202530119(ギザの花粉と水位)/Weiss, H. (2022) PNAS e2212483119(その解説)
・Lehner, M. (2020) "Lake Khufu"/Goyon, G. (1971)(ピラミッドの港と西の水路)
・Tallet, P. & Lehner, M. (2021)『The Red Sea Scrolls』(メレルの日誌)/Archaeology誌 2014年1・2月号、2022年7・8月号
・Lehner, M. (1985)(ギザの石切り場の体積)/AERA(古代エジプト研究協会)
・Stocks, D. A. (2003) Experiments in Egyptian Archaeology(銅ののこぎりと砂の再現実験)
・Fall, A. et al. (2014) Physical Review Letters 112: 175502(湿らせた砂の摩擦)
・ハトヌブの急な坂(2018年、IFAO とリヴァプール大学の発表)
・Dash, G. (2017) Journal of Ancient Egyptian Interconnections 13(秋分の影で方位を出す実験)
・Houdin, J.-P.(内部の坂の説)/ヘロドトス『歴史』
・Landreau, X. et al. (2024) PLOS ONE https://doi.org/10.1371/journal.pone.... News)
・Morishima, K. et al. (2017) Nature(ビッグボイド)/Procureur, S. et al. (2023) Nature Communications(北面の回廊)
▼実験のデータ
・Copernicus DEM GLO-30(© DLR e.V. 2010-2014 and © Airbus Defence and Space GmbH 2014-2018 provided under COPERNICUS by the European Union and ESA)
・Sentinel-2 / Sentinel-1(Copernicus Sentinel data 2026。Sentinel-2は2026年9月、Sentinel-1は2026年6〜9月の16回分)
・ピラミッドの位置:Wikidata・Wikipedia
▼写真
・大ピラミッド:Douwe C. van der Zee(CC BY-SA 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ギザの三大ピラミッド:Ricardo Liberato(CC BY-SA 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・屈折ピラミッド:Jorge Láscar(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・赤いピラミッド:Darer101(CC BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ジェセル王の階段ピラミッド:Vyacheslav Argenberg(CC BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・カフラー王のピラミッドの化粧石:Vincent Brown(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・王の間:Andrew Currie(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・大回廊:Mike McBey(CC BY 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ギザの石切り場:JMCC1(CC BY-SA 3.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ナイル川の帆船:Vyacheslav Argenberg(CC BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ダハシュールと南サッカラのピラミッド:Ernesto Graf(CC BY-SA 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・黒いピラミッド:Tekisch(CC BY-SA 3.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・ハトヌブの石切り場:Hannah Pethen(CC BY-SA 2.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・アスワンの切りかけのオベリスク:Olaf Tausch(CC BY 3.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・銅のノミ・銅ののこぎり:The Metropolitan Museum of Art(CC0)
・ジェフティヘテプの巨像運搬図(Wilkinson)・リンド数学パピルス・トゥーラの石切り場(Lepsius):パブリックドメイン
・ライセンス本文:CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY 3.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY 4.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY-SA 2.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/... / CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/...
・サムネの一部の背景は画像生成で作ったイメージです