【感動する話】離婚当日、夫に結婚指輪を握らされ「売って生活しろ」と冷たく突き放された私。3年後、貯金が底をつき質屋へ持っていくと、店主が震え「奥様、こちらの指輪は…」【泣ける話・いい話・朗読】

涙のひと駅

涙のひと駅

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「涙のひと駅」では、日々の中でふと出会う小さな優しさや、
人生のどん底から少しずつ立ち上がっていく物語を、朗読形式でお届けしています。

聴き終えたあと、心にそっと灯りが残るような作品を目指して、一つ一つ丁寧に制作しています。

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【本日のお話】
店主「奥様。……お待ちしておりました」

その言葉の意味が、私には分からなかった。

2月の午後だった。北野町の商店街のいちばん奥にある、古い質屋の店先。

私は薄いコートのポケットに手を突っ込んだまま、木のカウンターの向こうから出てきた白髪の老人を見ていた。

私が台の上に置いたのは、細いプラチナの指輪ひとつだ。

飾りもない、値打ちのなさそうな指輪。

それを老眼鏡越しに覗き込んだ店主は、途中で手を止めた。

ルーペを持つ指が震えていた。

それから帳場の椅子から立ち上がって、深々と頭を下げたのだ。

綾「奥様って、私、もう離婚していて」

そこまで言って、私は言葉に詰まった。

店主はゆっくりと顔を上げた。

目のふちが赤くなっていた。

店主「それでもあの方は、最後まであなたのことを奥様とお呼びになっておりました」

外で風が鳴った。

店の奥から線香とも防虫剤ともつかない古い匂いがした。

3年前、私は夫に捨てられた。

そう思って生きてきた。

この指輪はその日に手のひらへ押し込まれたものだ。

この店の敷居をまたいだことが、あの3年の意味をまるごとひっくり返すことになるなんて、このときの私はまだ知らなかった。

ぜひ最後までお楽しみください。

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